円形脱毛症のしくみとその治療について アイム鍼灸院 - 東京 神保町 -

円形脱毛症のしくみ

円形脱毛症のしくみ

正常に成長していた毛髪の一部が何らかの原因で突然抜け落ちてしまう現象が脱毛症です。
その中で、ある範囲に限局性の脱毛を来すものを円形脱毛症と呼んでいます。
また、限局性の脱毛には瘢痕性脱毛と言われるものがあり、
外傷や熱傷などの物理的傷害、頭皮に何らかの皮膚疾患が生じその病変部に脱毛班を生ずるものなど
基礎疾患が比較的明らかな脱毛症で、円形脱毛症とは区別されます。

円形脱毛症は米国の統計では人口の0.1~0.2%程に認められると言われており、
我が国での皮膚科外来患者の中では3~5%の頻度で、決して少ないものではありません。

一方、びまん性脱毛症はどことなく全体に脱毛が進行してくるもので、
感染症、膠原病、栄養障害、内分泌疾患などいくつかの基礎疾患が知られています。
さらに、壮年性脱毛症(男性型脱毛、若禿といわれるもの)は男性ホルモンの影響で毛の性質が変化し、
次第に頭髪が薄くなっていくもので、円形脱毛症とは性質の異なる脱毛症です。

毛髪の成長

成人の頭髪は一日に0.34mmほど伸びていますが(成長期)、
一定の時期がくると成長はとまり(静止期)、やがて抜け落ちて(休止期)、
また新しい毛が生えてくるという周期があるために、
頭髪では一日に約100本の毛が生理的に抜けています。

毛髪の成長

円形脱毛症の種類

円形脱毛症は、円形の脱毛班として起こり、
小さなものから、徐々に拡大して広範囲なものになることがあります。
その臨床形態からいくつかの型が知られています。

  • 円形の脱毛班をみるものは通常型といわれ最も多い型であり、それには単発性と多発性とがあります。
    単発性で始まってやがて多発性にあることもあります。
  • 頭髪の生え際に帯状に出現するophiasis型 (蛇行型)。
  • 頭髪が全体に抜け落ちる全頭型。
  • 頭髪だけでなく全身の毛髪が脱落する汎発型(全身型)。
  • 原因にアトピー素因を持って起こすアトピー型(これは臨床像というよりも、素因の立場での分類になります)。

これらの円形脱毛症のうち、全頭型や汎発型は多発性通常型から移行することがあります。
部位としては頭髪が最も多いとされていますが、眉毛、まつ毛、ひげなどにも発症し、
まれには体毛に円形脱毛症を生ずることもあります。

通常型

通常型

蛇行型

蛇行型

発症年齢・性

円形脱毛症の発症年齢はどの年齢にもみられますが、小児の発症も多くみられます。
733例の円形脱毛症の皮膚科を受診した時の年齢分布では、
20~30歳台が最も多く、次いで10歳以下が多いのが注目されています。

男女比は1対1.18と女性にやや多い傾向がみられます。

円形脱毛症の原因

円形脱毛症の原因は未だ明らかではありません。
感染症、ストレスなどの精神神経障害、内分泌異常などの様々な説があります。

近年では免疫学的検索により遺伝的素因を持つ個体に
自己免疫的機序が関与して発症するとの考え方が有力とされています。

遺伝的素因としては、家族内発症が30%ほどにみられること、双生児法を用いた調査から、
一卵性双生児では両者の発症率が高いのに比して二卵性双生児では片方の発症のみであったとの報告があること、
HLAの型の検査では脱毛症の患者に共通する型が認められていることなどから、
遺伝的要素があることは確実とされています。

免疫学的要因としては、円形脱毛症の病変部の病理組織所見にて、
毛根部周囲、外毛根鞘にリンパ球漫潤がみられ、何らかの免疫反応が毛根を中心にして起こっているものと考えられます。
その結果、毛髪は委縮し退行変性を生じ、やがて脱落。
しかし、自己抗原とされるものが何であるかは明らかではありません。

円形脱毛症は治るのか?

単発性の円形脱毛症では寛解することが多いのですが、
多発性の円形脱毛症になると発毛がみられても一方では脱毛をきたし、
それが周期的に起こり、長期にわたって繰り返されることがあります。

また、蛇行型や全頭脱毛の円形脱毛症では、
しばしば治療に薬剤の治療に抵抗性となり、
治療により寛解がみられても治療を中止するとまた脱毛をきたしてしまうことが多く、
難治性といわれる型です。
しかし、瘢痕性脱毛のように毛包の永久破壊は起こらないので
経過は長くなっても全くあきらめる必要はありません。

質の高い国産の「鍼」だから、痛みを最小限に抑えます。

円形脱毛症は適切な治療を選ぶことが大切です。

生活上の注意

円形脱毛症をきたした場合には
毛根を刺激して毛の成長を促すこと、バランスのとれた栄養摂取、
頭皮のマッサージを行い血行を良くすることなどに努めることが大切です。
ストレスは溜めないで発散させるようにしたいものです。
円形脱毛症は、外見上の問題が大きい場合には義髪をうまく利用することも必要になります。
また、悩みを一人で抱えないで、打ち明けて話し合える仲間の存在も重要なことと言えるでしょう。

円形脱毛症は外見的な問題が非常に大きく、対人関係などで心理的に大変な悩みとなります。
そのような悩みを理解し合える社会、共感を持てる環境にしたいものです。

生活上の注意

『あなただけではない円形脱毛症 よい患者・医者選び』より

薬剤による円形脱毛症の治療

円形脱毛症の治療には局所的な治療のみで比較的容易に完治する例がある一方で、
全身的治療を組み合わせても治療に抵抗性のあることがあり、
様々な治療法が試みられています。

このことは原因が完全に解明されているわけではなく、今のところ根本的治療がないことによるもので、
ここでは現在行われている一般的な薬剤による円形脱毛症の治療法について見てみたいと思います。

局所的な治療

円形脱毛症が比較的軽症の場合には局所的な治療で経過をみることが多くあります。
外用剤の使用以外に皮膚炎をもたらす化学薬品の外用、紫外線療法などの方法があります。

塩化カルプロニウム液(フロジン液)
医療用として保険適用になっている外用剤で、円形脱毛症の局所の血流増加を起こさせ発毛を促す働きがあります。
外用により一時的な発汗作用がみられることがあるも大きな副作用はないとされています。
その効果は優れたものではないようですが、脱毛の経過をみるためにも、しばしば日常診療で使用されます。
外用ステロイド剤
抗炎症作用として効果が期待できます。
strongクラス以上の外用剤を局所的に塗擦するもので、
全身的な副作用が少なく、円形脱毛症の治療に応用されている手法です。
冷凍療法
液体窒素圧抵抗法といわれる治療法で、
綿棒に液体窒素を含ませ、それを数秒間円形脱毛症の病変部に圧抵するということを週一回施行します。
局所の痛みや後に色素沈着をきたすことがありますが、その効果は良いものがあり、
小さな病変部には試みてよい方法であると言えるでしょう。
PUVA療法
ソラレンという薬品を内服もしくは外用し、そこに紫外線を照射する治療法です。
その効果は報告者により一定はしないとされています。
また、紫外線照射をするということから副作用を考慮せねばならず、
簡便な方法でもないため、円形脱毛症の難治例に応用されています。
局所免疫療法
ある種の薬品を外用し、局所の免疫反応を起こさせて発毛を促す方法であす。
かぶれを起こさせる物質であるDNCE(dinitrochlorobenzene)を脱毛班に外用することにより
発毛がえられたとの報告以来いくつかの薬品による治療法があります。
局所免疫療法には自然界や産業製造物質に所在しないもので、
他の物質を交差反応を示さないものが望まれており、
そこに見出された物質がSADBE(squaricaciddibutylester)やDPCP(diphencyprome)であり、
これを外用する円形脱毛症の治療が行われています。
副作用として強い接触皮膚炎や自家感作性皮膚炎などがあります。
その他の治療法
温熱刺激などの非特異的刺激を与えることによる治療法が考案され試みられていますが、
その成績は一定しないとされています。

全身的な治療

全身的な円形脱毛症の治療としては、
ステロイド剤、抗アレルギー剤、血管拡張剤、免疫抑制剤などがあり、局所療法との組み合わせで用いられています。
しかし、治療のガイドラインは確立しておらず、
治療者はそれぞれに苦心して治療法を考えているのが実情です。

ステロイド全身投与
ステロイド全身投与については賛否両論があります。
投与により発毛を促すことができても、中止すると脱毛が再発し、
結果として長期間使用することになり、その副作用が問題になるからです。
一般には急速に増悪する時期、あるいは年余にわたる経過の長い難治例に使用されます。
また、パルス療法という注射にて一度に大量のステロイド投与を短期間行うことも有効であるとの報告があります。
いずれにせよ、副作用の問題があり、患者さんとよく話をしながら使うべきであるとされています。
全身への副作用を軽減するために、局所に注射する方法もあり、
この場合でも皮膚の委縮をきたさないように注意が必要です。
また、ステロイド単独よりも、PUVA療法との併用、ステロイド外用療法との併用のほうが成績がよいとされています。
免疫抑制剤
本剤は副作用の問題から難治例に試みられ、ステロイド剤との併用として使用されることがあります。
まだ一般的ではなく、その効果については検討が必要であると言えるでしょう。
『あなただけではない円形脱毛症 よい患者・医者選び』より